2009-11-06

もし僕らのことばが焼酎であったなら

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広島西空港から鹿児島へ。
オリジナル焼酎を作りに行くのです。

吾平町に到着。
大隅半島の景色はさながら島と変わりません。
まるでシングルモルトウイスキーの聖地
スコットランドのアイラ島に来た気分です。
芋は一般的な黄金千貫ではなく、むらさき芋を指定します。
しかも生産者を限定。
鮮度が良いむらさき芋を使うため生産管理帳票まで確認します。
通常の芋焼酎に使われる芋は畑から獲れて2〜3日経過していますが、
今回のやつは24時間以内でもろみにします。
早ければ朝獲り芋で最速3時間でもろみになります。
冷凍芋も多く使われている中、目指すは掘りたて仕込みです。

レシピとは要するに生き方である。
それはすなわち何をとり、何を捨てるかという価値基準のようなものである。
何かを捨てないものには、何もとれない。

さて、いよいよ大量に胃袋に送り込むとします。
酒はその産地で飲むのがいちばんうまい。
造られた場所に近ければ近いほどいい。
離れれば離れるほどその酒を成立せしめている何かがちょっとずつ薄らいでいく。
輸送や気候の変化で味が変わってしまう事もあるだろうし、
日常的にはぐくまれている環境が失われることによって
そこにあるアロマが微妙に心理的に変質してしまうから。

うまい酒は旅をしない。


明日は蒸留所での製造にかかわる名人っぷりについてお届けします。


芋は生き物である。
傷があればそこからエグみが出るので手作業で丁寧に取りのぞく。
麹に使われる米は普通はタイなどから輸入されるミニマムアクセス米だが、
今回は国産の破砕米を使う。しかも年産が新しいもの。
そして名人たちは蒸留の工程でアルコールの沸点68度から水の沸点100度の間に
二日酔いの原因になるアルデヒトを取り除くため、こまめにガス抜きをする。
ほとんどの焼酎は面倒くさいのと酒の歩留まりが悪くなるので省略する作業だ。
しかもやわらかい蒸気で蒸留していく。
最初の絞りたての初垂(はなたれ)を飲ませてもらう。
68度もある。焼酎は45度以下と決められているためここでしか飲めない。
午前4時に飲むテキーラやウォッカと同じスピリッツだ。
うまい。
そして大切なのは掃除だ。
焼酎の製造は少量の油分が出るためこれをきちんと掃除しないと味が落ちる。
0.03ppmの雑味成分を残しながら。
それがパーソナリティーとなり、独特のアロマが出るというわけだ。

しかし、一番最後にくるのは人間である。
ここに住んで、ここに暮らしている彼らがこの焼酎の味を造っている。
お婆ちゃんが紫芋が満タンに入ったオレコンを肩に担いだのを見た。
正直たまげた。
あんなに力強い女性を見たのは生まれて初めてだ。

人々のパーソナリティーと暮らしぶりがこの味を造りあげている。
それが一番大事な事だった。

酒造りとは本質的にロマンティックな仕事である。
作られた酒が世の中に出て行くとき、
あるいはもうこの世に彼はいないかもしれない。
しかしそれは彼が造ったものなのだ。
そういうのってすごく素敵なことだと思わないか

黙ってグラスを差し出し、喉に流し込んでもらえばわかるのだが。

僕らの言葉が焼酎であったなら。


桜島噴火。
posted by motor-now at 10:00 | 広島 霧 | Comment(1) | TrackBack(0) | DiARY
この記事へのコメント
ん?!南之方かしら?
それなら是非、ワンカップでもあれば買って来て!飲んでみたいっす!
Posted by なおみ at 2009年11月06日 13:18
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